2020年も色々な出来事がありましたが、「鬼滅の刃」に関連するニュースはとても多かったですよね。
あまり漫画やアニメに興味がなかったけど「鬼滅にはハマった!」という人も多く、まさに社会現象といって良いでしょう。
実は私も動画配信サービスでアニメ版を全話いっき見して以来どハマりし、早く続きが知りたいと漫画にも手を出した口です。
まだ見ていない、読んでいないという方のために簡単にあらすじを紹介しますね。
主人公の竈門炭治郎(かまど たんじろう)が、鬼にされた妹の禰豆子(ねずこ)を人間に戻すために、人を鬼に変えられる始まりの鬼である鬼舞辻無惨(きぶつじ むざん)の討伐を目指して仲間と共に戦い、成長していくストーリである。
漫画は2020年12月4日に最終23巻が発売され、物語はひとまず完結したわけですが、ブームはまだまだ継続中。
アニメの続編にあたる映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」の勢いが止まらず、歴代興行収入ランキング1位の「千と千尋の神隠し」(2001年)の308億円をいつ超えてもおかしくない状態です。(2020年12月17日時点)
ただ、そんな鬼滅ブームの裏で、「鬼滅の刃」とコラボした商品の転売問題も数多く起きたことをご存知ですか?
定価の2倍以上の値段も当たり前で、中には発売される前からオークションに出品されているものもありました。
そこで今回は「鬼滅の刃」の実例から、「転売って取り締まれないの?」「結局、転売って誰が悪いの?」という部分を考えていきたいと思います。
目次
社会的ブーム!様々な業界から「鬼滅の刃」とのコラボ商品が発売
コロナ禍で売り上げの落ち込む業界が多い中でも「鬼滅の刃」はかなり好調のようで、原作の漫画や映画は爆発的にヒットしています。
実際、日経トレンディが毎年発表しているその年のヒット商品では、「鬼滅の刃」が堂々の1位です。(日経クロストレンド 2020年ヒット商品ランキングより)
また、「鬼滅の刃」とコラボした商品もたくさん誕生しましたよね。例えば、ビックリマンチョコとコラボした「鬼滅の刃マンチョコ」もテレビで大きく取り上げられましたし、モンストやパズドラといった人気スマホゲームでも「鬼滅の刃」のキャラクターとコラボがあったようです。
傍から見ると「コラボすれば売れる」といった印象で、試しにグーグルの画像検索で「鬼滅の刃 コラボ商品」と打ってみたところこんなにたくさんの商品が出てきました。
※ 「鬼滅の刃 コラボ商品」のグーグル画像検索結果
ただ、コラボ商品に歓喜したのは鬼滅ファンだけではなかったようで…
一部の商品は転売ヤーに目を付けられ、発売日なのに入手できない、ネットで高額転売されるといった事態になったのです。
高値で取り引きされる「鬼滅の刃」関連商品
ヤフオク!やメルカリなどで探すと転売されていると思われる「鬼滅の刃」の関連商品がたくさん見つかりました。
一時期に比べるとやや価格は落ち着いた印象ですが、多くの商品が定価よりも高値で取り引きされています。
今回はメルカリで出品価格を調査しました。
漫画全巻セット
※ メルカリでの検索結果
漫画全巻を定価で購入したなら10,670円ですが、メルカリだと15,000円前後での出品が多いです。
「鬼滅の刃」全巻を定価で購入した場合の値段
- 1巻~11巻(400円+税)
- 12巻~22巻(440円+税)
- 23巻(460円+税)
合計金額(①+②+③):4,840円+5,324円+506円=10,670円
一部の巻にはポストカードやキャラクターシール、缶バッジなどが付属しているものもあり、それによって付加価値も付きますが、品薄とはいえ定価より3,000円~4,000円程高くても売れるのはすごいですね。
私は電子書籍で漫画を読んだので「買えない!」というストレスはなかったのですが、紙で読みたい人、読んだら売ろうと考えている人は入手するのも大変だったと思います。
新聞広告
※ メルカリでの検索結果
最終巻の23巻が発売された12月4日の朝刊と夕刊で主要キャラクターとその名言が載った広告が掲載されました。
当日の朝のニュースでも取り上げられ、早朝から動かないと全種類を入手するのはかなり難しかったようです。花江夏樹さんも自身が声優を務めた炭治郎が載った読売新聞だけ購入できなかったようで、ツイッターではこんな心の叫びが…
https://twitter.com/hanae0626/status/1334670861777793024
全国5紙の朝刊にはそれぞれ3人のキャラクターが登場し、各紙共通で主人公の炭治郎が所属する鬼殺隊の長である産屋敷耀哉(うぶやしき かがや)の言葉も1面に掲載されました。
これに5紙の夕刊に掲載された作者である吾峠呼世晴(ごとうげ こよはる)さんからのメッセージ1面を加えた全17種でフルコンプリートというわけです。
主要キャラクター15人分での出品も多いものの、メルカリではおよそ2,000円前後で出品されています。定価で新聞を購入していたなら1,000円以下でフルコンプできるので、定価の倍以上だといえるでしょう。
「鬼滅の刃」の広告が掲載された新聞の価格
新聞 | 朝刊の価格 |
---|---|
読売新聞 | 150円 |
朝日新聞 | 150円 |
毎日新聞 | 150円 |
産経新聞 | 120円 |
日本経済新聞 | 180円 |
※ 2020年12月時点の一部売りの価格です。夕刊は価格が異なります。
ローソン オリジナルクリアファイル
※ メルカリでの検索結果
大手コンビニのローソンでは「鬼滅の刃」とのコラボが多く、その1つがオリジナルクリアファイルです。これは対象商品を指定数購入することでクリアファイル1枚(全5種)と交換できるというキャンペーンで配布されたものになります。
2021年の1月にも同じようなキャンペーンが予定されていて、1つ100円程度の対象商品3点を購入することでクリアファイル1枚を貰えます。
現在、メルカリなどに出品されているのは過去のキャンペーンのものですが、基本的な条件は一緒です。単純計算でクリアファイル1枚だけなら300円程度、5種類全部を集めても1,500円程度ということになりますね。
クリアファイルは先着・数量限定なのでメルカリでの出品も多く、全種類セットが2,000円程度で取り引きされていました。実際には送料や手間がかかるものの、コンビニで購入した商品代金が返ってくるレベルです。
商品を買ったのに、その代金が返ってくる…ある意味、錬金術です。
ゲームセンター プライズフィギュア
アニメ、漫画関連グッズで人気のある商品の1つがフィギュアです。「鬼滅の刃」に限らず好きなアニメのフィギュアを集めた経験ありますよね。
フィギュアにも色々な種類がありますが、ゲームセンターのクレーンゲームで取れるプライズフィギュアもかなり高値で取り引きされているのです。
プライズなので定価はないものの、鬼滅ファンの知り合いに聞いたところ、「運が良ければ1,000円以下、高くても3,000円くらいで取れるよ。」とのこと。
では、そのプライズはいくらで出品されているのでしょうか?同じようにメルカリで調べてみました。
※ メルカリでの検索結果
上記は2019年7月に登場した「絆ノ装」というシリーズの第一弾なのですが、5,000円~7,000円で購入されていたものが多かったです。
実は、プライズという性質上、一定期間でゲームセンターからは消えてしまうため、人気がある商品は今後どんどん値段が上がっていく可能性もあります。
さらに人気のあるキャラクターほど高値になり、楽天市場やAmazonなどで出品されている商品を業者から購入しようと思うと1万円を超えるものもあるのです。
また、同じシリーズで今後登場する予定のプライズがすでに1万円近い価格で予約販売されるなど人気の高さがうかがえます。
ほとんどの転売は違法じゃないって知っていますか?
「転売」って聞くと違法なイメージありますよね。
転売を生業にする転売ヤーが逮捕された事例もあるのですが、実は、転売自体に違法性があるケースは少ないのです。
安く買って高く売るは商売の基本
転売というと聞こえが悪いですが、そもそもできるだけ安く買い、できるだけ高く売るのは商売の基本です。
仕入れた価格と同じ金額で売ってしまっては利益が出ません。
また、欲しい人が多ければ価格は上がるのも自然なことです。よく指摘されることですが、高値で転売されていても購入する人がいなければ自然と価格は下がります。
結局は需要と供給のバランスということですね。
実際、最初は高値で転売されていた商品が、数日で価格が急速に下落したというケースもありました。
「鬼滅の刃」の最終巻には通常盤に加えて、フィギュアが同梱されている特装版も販売されています。定価は5,200円+税なのですが、予約限定生産ということもあり発売前は1万円を超える価格でオークションサイトなどに出品されていました。
ただ、想像よりも入手しやすかったためか発売後は徐々に転売価格が下がっていき、現在は定価より1,000円程度高い価格での出品が多いようです。
予約しておらず入手できないと思った人の中には、高く転売されていたものを購入してしまった人もいるでしょう。
転売する側からすると、最初は高めの値段で出品して売れなければ価格を下げれば良いという意識があるのかもしれませんね。
法律で転売が禁止されているものもある
買ったものを売るのは商売としては当たり前の行為なのですが、何でもかんでも自由に転売されると困るものもあります。
そのようなものについては法律によって規制されており、転売が法律違反になる可能性があるのです。
転売が法律に違反する(可能性がある)ものの例
- マスク、アルコール消毒製品 ※
- 偽ブランド品
- 違法にコピーされたデジタルコンテンツ
- ライブなどのチケット
- 酒類
※ 2020年8月末に転売の規制が解除されています。
マスクやアルコールの転売も2020年のニュースの1つですよね。現在は供給が安定したためそれらへの規制は解除されたものの、それなりの理由があれば法律による規制もあるのです。
偽ブランド品や違法コピー品は権利を侵害していますし、酒類の販売には免許が必要なので無免許での転売なら違法になります。
メーカーなどが転売を禁止している商品もNG
先ほど紹介したようなもの以外に、メーカーが転売目的での購入を禁止しているケースもあります。
本当に転売目的での購入でないか確かめるのは難しそうですが、嘘を付いて商品を購入した場合、業務妨害などでメーカーに訴えられる可能性はあるでしょう。
「転売=違法」という認識は間違いではあるものの、転売が法律に違反する可能性もあることは覚えておいた方が良さそうです。
違法じゃなくても非難集中の転売ヤー!それってなんで?
この記事で取り上げた「鬼滅の刃」に関する商品は基本的に転売が制限されるようなものではありません。
ただ、違法でなくても、転売ヤーには世間から冷たい視線が向けられていますよね。
ツイッターなどを見ると転売ヤーへの怒りをあらわにするツイートも多く、その背景には次の3つの理由があると思います。
転売ヤーが非難される理由
- 高値転売が許されていることへの苛立ち
- 自分が欲しい商品を定価で購入できないことへの不満
- 転売するだけで高額な利益を得ていることへの嫌悪感
- 高値転売が許されていることへの苛立ち
説明したように転売自体が違法になるケースは多くありません。そのため、違法じゃないからこそ転売ヤーへの苛立ちが募っているようですね。
法律で取り締まれるなら警察なり、弁護士なりが対応してくれますが、個人的に悪質だと感じても法律に違反していないならネットで苛立ちを表現するくらいしかできないということでしょう。
- 自分が欲しい商品を定価で購入できないことへの不満
本来なら定価で買える商品が、転売ヤーのせいで何倍もの価格につり上げられていれば怒りますよね。
先ほどの話とも関連しますが、「こんなことして良いの?」と怒る気持ちは理解できます。欲しい商品が定価より高値で転売されているのも嫌ですし、本当に欲しいわけではない人が大量に買い占めていることへの不満もあるでしょう。
- 転売するだけで高額な利益を得ていることへの嫌悪感
また、自分が欲しい商品でなくても、転売そのものに嫌悪感を抱いている人もいますよね。
買い占めによって定価で買えない人が増えていれば「人の迷惑も考えてよ!」という気持ちになりますし、それで高額な利益を得ているならなおさらです。
言い方は悪いかもしれませんが、「他人に迷惑をかけて利益を出している」といったイメージが転売にはあるのだと思います。
鬼滅コラボ商品でいっそう注目される転売の問題点
個人的には転売のすべてが悪いとは思いません。
よく転売は「モラルの問題」といわれますが、メルカリなどで転売だと思われる出品者が叩かれるといった事例もあり、売る側、買う側もモラルが求められるのだと改めて感じたというのが正直なところです。
ただ、モラルの一言では片付けられないような問題もあり、多くの人に知っておいて欲しい情報なのでシェアしようと思います。
転売目的で仕入れるなら古物商の免許が必要な場合も
例えば、読み終わった漫画をフリマアプリや古本屋で売るのに特別な許可はいりません。
ですが、フリマアプリやオークションサイトで最初から転売目的で商品を仕入れるのは別です。中古品を転売する目的で仕入れ、それを販売するときは「古物商許可証」が必要で、許可なく転売すると逮捕されるかもしれません。
サラリーマンなどの副業として「せどり」が一時期注目されましたが、無許可で行うと法律違反になる可能性があるので注意してください。
相次ぐ転売で得た利益の申告漏れ
転売して得た利益は確定申告が必要なケースも多いです。
しかし、国税局の調査によれば、1,877件のうち、9割弱にあたる1,680件が無申告であったという衝撃的なニュースもありました。(ヤフーニュース:無申告だらけの「転売ヤー」、国税庁調査の9割で発覚…なぜバレてしまう?より)
実に65億円の追徴課税で、前年度比で12.1%増だそうです。
こんなニュースを知ってしまうと、「やっぱり転売なんかしている人はロクなやつじゃないな!」と思う気持ちも理解できますね。
もし手軽にできる副業として転売を考えていた場合、そもそも面倒なことをしたくないと考える人も多そうです。ただ、申告漏れがあれば追徴課税されるため、いっそう面倒なことになるでしょう。
過度な転売行為はメーカーに対応してもらいたい
転売を法律で規制するのは現実的に難しいです。
そのため、転売を目的とした買い占めが予想されるようなものについては、メーカー側が転売目的での購入禁止を条件に販売するなどの対策が取られた事例もあります。
これにより法律的には転売できるようなものでも、「もしかしたらメーカーから訴えられるかも…」という抑止力になるわけです。
筆者としても、この辺りが「転売擁護派」と「転売規制派」の妥協点なのだと思います。
「鬼滅の刃」の話に戻ると、鬼殺隊の持つ刀をモチーフにした「鬼滅の刃 DX日輪刀」がバンダイから10月に発売されました。バンダイ公式ホームページで価格を確認すると6,380円(税込)なのですが、メルカリだと8,000円~9,000円での出品が多いようです。
※ メルカリでの検索結果
時期的にはちょうどクリスマス。(12月の中旬に書いてました。)
店舗では品薄が続いており、サンタさんも入荷を待つか、何店舗もまわって在庫があるお店を見つけるしかありません。
サンタさんが転売されている商品をプレゼントに使うなんてことは考えたくないですよね。
おそらく、メーカーや全国のおもちゃ屋さんも同じ気持ちで、同じ数だけ売れたとしても転売ヤーではなく、子どもたちに直接商品を届けたいと考えているはずです。
消費者の感情だけで議論を進めてしまうと過度な規制になり、本来は自由であるべき経済活動を阻害してしまいます。
ただ、法律云々に関係なく、商品によっては本当に欲しい人が適正な価格で入手できるようなメーカーなどの積極的な転売・買い占め対策があっても良いのではないでしょうか?
【まとめ】法律に違反しない限り転売に問題はない!あなたは転売に賛成?反対?
「鬼滅の刃」のブームを例に転売の問題について取り上げました。
許可が必要なもの、権利を侵害するものなど法律で取り締まれるケースはあるものの、それ以外の転売に違法性はないと分かっていただけたと思います。
一方、自分の好きな漫画・アニメのグッズなどが転売ヤーによって買い占められていたら良い気持ちがしないのは当然ですよね。
法律で取り締まれないからこそ、そのうっぷんがネット上で吐き出されているとも考えられますが、過度に規制、規制の方向に社会が向かうのもどうなのかなというのが私の本音です。
ただ、人によって「その転売はOK」「その転売はダメ」とするラインは違うでしょう。
ここまで転売が問題になった理由の1つは、インターネットの普及、様々なサービスの登場によって、誰でも、簡単に転売できる、転売されたものを買えるようになったからだと思います。
それに対して、転売に対する社会的な議論、法整備は十分ではないのかもしれません。
法律に違反するようなケースでない限り白黒はっきりするのは難しいですが、みなさんは転売に賛成ですか?それとも反対ですか?
※ 貸付条件
アイフルの貸付条件:商号 アイフル株式会社/貸金業登録番号 近畿財務局長(14)第00218号/貸付利率 3.0%~18.0%(実質年率)/遅延損害金 20.0%(実質年率)/利用限度額 800万円以内(要審査)/返済方式 借入後残高スライド元利定額リボルビング返済方式/返済期間・回数 借入直後最長14年6ヶ月(1~151回)/担保・連帯保証人 不要
レイクの貸付条件:商号 新生フィナンシャル株式会社/貸金業登録番号 関東財務局長(10)第01024号 日本貸金業協会会員第000003号/貸付利率(実質年率)4.5%~18.0%(※貸付利率はご契約額およびご利用残高に応じて異なります。)/遅延損害金(年率)20.0%/返済方式 残高スライドリボルビング方式、元利定額リボルビング方式/返済期間、回数 最長5年、最大60回(※融資枠の範囲内での追加借入や繰上返済により、返済期間・回数はお借入れ及び返済計画に応じて変動します。)/担保・保証人不要